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地域循環共生圏をしろう

地域のマスタービジョンが意思ある人をつなぐ。
八尾市の地域循環共生圏づくり

インタビュー画像1
岡見 厚志さん:環境パートナーシップ協議会サソテナやお 副代表 / WorldSeed代表理事
岡見:

八尾市は、環境省の地域循環共生圏づくりプラットフォーム構築事業に2019年から参画しています。

きっかけは、2018年に廃校(旧北高安小学校、旧高安中学校の校舎)で、『みんなの学校』と『山ねきマルシェ』というイベントを合同開催していた時の出来事です。加納先生(NPO法人ニッポンバラタナゴ高安研究会 代表理事)が、「この廃校に、水族館をつくりたい」と言ったのが、始まりでした。

ちょうど同じ頃、八尾市には、環境パートナーシップ協議会「サソテナやお」という協議会があるのですが、その会議の中で加納先生から「地域循環共生圏づくりプラットフォーム構築事業に応募してみないか」という提案がありました。参加者のほとんどは、その時まで地域循環共生圏の考え方を知らなかったのですが、「八尾の目指したいこととピッタリだね」と意気投合し、応募することにしました。

私は、「協働の取り組みを作る」ことを目指して『World Seed』という団体を立ち上げており、八尾市とも関わりが深かったため、プラットフォーム運営チームの一員として事務局を担うことになりました。

地域でやりたいことがある人たちとはじめた、ボトムアップのビジョンづくり

岡見:

はじめに取り組んだのは、メンバー集めです。地域循環共生圏づくりのコアになるメンバーたちに、「こういう取組をしたいと思っているんやけど、一緒にやれへん?」と声をかけて回りました。

インタビュー画像2

環境や地域に対する課題意識ーー例えば、「タナゴの保全は大切だよね」「廃校活用良いね」ということに賛同してくれる人は沢山いるのですが、それが自分自身の課題意識ややりたいことと紐づいていないと、長期的なコミットメントになりづらいのではないかと思います。

なので、「この地域で自分のやりたいことがある人」そして、「そのやりたいことと、地域循環共生圏の考え方が一致する人」を中心に声をかけていきました。

例えば、メンバーのひとりに不動産業を営んでいる人がいます。八尾市はとても空き家が多いのですが、彼はそれが「面白い」とずっと言っていて、その活用方法を模索している人です。

また、 声をかける時に大切にしたことは「ビジョンはこれからみんなで考えていくこと」を前提にしていたことです。

声をかけたメンバーのやりたいことは、「空き家の活用」「木育」「キャンプ場の運営」など様々でしたが、それらをお互いにシェアしながら共通のビジョンを模索していきたいと思っていました。

だって、誰かが示すビジョンに 「乗るか」「乗らないか」みたいな話しになると、面白くないじゃないですか。

共通のビジョンがあるからお互いに関わり合うことができる。
マスタービジョンができるまでの道のり

ビジョンづくりは、みんなで理想地域についてアイディアを出し合い、それをグラフィックレコーディングをしてもらいながら整理することから始めました。

こうして始めたビジョンづくりですが、すぐに現在の形になったわけではありません。

「こんな風になったらいいよね」は沢山あったのですが、「これが私たちのゴールだね」と言える共通のビジョンがなかなかつくれませんでした。

この共通のビジョンをつくるためには、「一人ひとりのやりたいこと」の本質を突き詰める必要があったので、「やりたいこと」の共有と深堀りから改めてやり直したりもしました。

現在掲げている『持続可能な都会派里山暮らしが集まるまち』というマスタービジョンに到達したのは、活動を始めてから約2年後のことです。

ビジョンづくり初期のグラフィックレコーディングの記録写真
参考:ビジョンづくり初期のグラフィックレコーディングの記録写真の一部
現在の八尾市のビジョン・活動・ステークホルダーの関係図
参考:現在の八尾市のビジョン・活動・ステークホルダーの関係図

ビジョンづくりのプロセスを通して、活動に関わる個人が本当にやりたいことに照らして現在地点を共有したり、振り返ったりできるようになったことが大きいです。

今では、お互いに「これはできたよね?」「これはまだ課題があるよね」と、関わり合うことができるようになっています。

現在は、ビジョンの実現に向けて、具体的な活動を進めている最中です。

先ほど例に挙げた不動産屋の彼は「空き家をつかって、移住促進のためのサポートをできるような仕組みづくり」に向けて取り組んでいます。

動き始めてみると、空き家はあっても、実際に貸してくれる大家さんや地主さんを見つけることは難しいことが分かりました。

試行錯誤を繰り返して、やっと管理を任される物件が2棟見つかったところです。

『タナゴファーム』は、ニッポンバラタナゴが泳ぐビオトープの水を使い、農薬や化学肥料を用いない農園です。

農園もあって、ピザ焼きもできるし、ログハウスもあります。「高安地域でやれると楽しいこと」が凝縮したような場所なので、ここを起点にしたエコツアーを企画しているところです。

『タナゴファーム』イメージ写真1
『タナゴファーム』イメージ写真2
『タナゴファーム』イメージ写真3
『タナゴファーム』イメージ写真4

一度できたビジョンも、定期的に見直していくことは必要だと考えています。

活動を通して、ビジョンの実現に近づくことがあったり、逆に実現が困難だと分かることもあるので、それらを踏まえて常に生きたものにしていくことが大切なんでしょうね。

マスタービジョンの実現に向けてはまだまだ発展途上です。やってみて、できないことが分かるということも一つの収穫ですが、やはりいくつかは実を結ぶところまで持っていきたいな。

ビジョンや目的に立ち返ってコミュニケーションする、繋ぐ。
地域で活動する上で大切にしていること

岡見:

私が地域で活動する上で大切にしていることは、ビジョンや目標に基づいたコミュニケーションをすることです。

地域で活動をしていると、様々な考えやバックグラウンドを持つ人たちがいます。そんな中で、衝突が起こることもあります。でも、みんな「地域を良くしたい」という思いは共通しているんですよね。

なので、常に「やりたいことは何だったのか」に立ち返って考える、コミュニケーションすることを大切にしています。「サポート」というとおこがましいですが、「最近どう?」と声をかけて壁打ち相手になるようにしています。

あと「この人とこの人が繋がったら良いな」と思う人同士は、繋ぐことを意識しています。地域で活動する一人ひとりが楽しく活動できるのかどうかが大切なので、各々のやりたいことや、相性は考慮して繋ぎますね。

インタビュー画像3
岡見:

私は、高安地域ってすごく面白いなと思っています。十数年前からニッポンバラタナゴの保全活動をしていたり、自然観察会を主催している人がいたり。沢山の意思ある人たちがこの地域をつくってきたと感じています。

私は関心の幅が広いタイプで一つのことを極めるタイプではありません。だからこそ、一つのことに夢中になって極めている人のことは好きだし、応援したいと思います。

こんな面白い人たちがあまり知られていないことがすごいもったいないと思っていて、「この良い取り組みをもっと広く知って欲しい」ということが自分のモチベーションの源泉です。

一方で、こうして地域の人をつないだり取り組みに伴走する人材が私一人の状態では、取り組みが長く続いていかないとも思っています。今後は、この役割を分担したり、引き継いだりしていける人を増やしていくことが、自分の今後のテーマですね。

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